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現在の情報化社会の中で,構造物の設計図書などはCADなどを用いて電子化されています。大学教育においてもCADを導入した
授業が行われており,社会に出てからも時流に十分対応できる学生を育成しています。しかしながら,学生の多くが社会に出ても図面を立体的に見ることができ
ていないのが現状としてあります。特に,コンクリート構造物内の配筋の取り合いやスペーサの干渉,配管などの内部構造物と鉄筋との関係等が理解できていな
い状況にあるといえます。さらに,今後は従来のような大型構造実験が難しくなることから,限られた空間で構造実験を実施するためには,正確に縮尺し,相似
則を考慮した小型模型による実験が必要不可欠になってくると考えられます。
そこで,学生がCADなどで作成した実構造物の図面を基に,縮尺した鉄筋配筋,内部構造などを自らの手で作製させ,実感させることは非常に意義あることと
いえます。さらに社会人などを対象とした講義においても,小型模型であれば,容易に構造実験などを行うことが可能となります。ただし,建設資材,特に鉄筋
などの強度特性を考慮して厳密に縮尺したものは市場にはないことから,それらを開発していく必要があります。本事業では,このような背景の基に現在の学生
が欠如している平面図面からの構造物の立体視,透視化を行える技能を身につけさせるために,自ら鉄筋などを組むことにより,その能力を高めるとともに,構
造上何故その部位に必要であるかを理解させるためのツールとなるものです。さらに,自ら作製した小型模型を用いた構造実験を行うことで,構造設計の意味を
知ることができることとなります。そのためには,実際の材料と縮尺だけでなく,特性も同様のものを開発する必要があります。
本事業は,ユニバーサル教育時代の教育システムの開発の一環として,構造物の立体視・透視化を目指したシステム構築を行う計画 です。すでに,可視化事業において画面上での透視化はある程度進んでおり,それらの画面上での透視化技術というソフトの部分と本年度の事業で行う縮尺鉄筋 の製作というハードな部分とを融合させることにより,構造物の立体視・透視化教育を推進していく予定です。これにより,CADなどで作成した2次元図面を 鉄筋模型によって3次元に立体化することが可能となり,立体視の教育的効果が上がるものと思っています。
法政大学教授 博士(工学) 溝渕利明
2005年10月より溝渕教授の依頼により開発プロジェクトを結成、その最大の目的は「最近学生諸君が物を立体視することがで
きず、またすべての研究をバーチャルでしか完成できていない。現場での知識、技術を育成するのに対して大変不安を持つ。その為、少しでも立体的に物を評価
できるように、実際に模型で作る経験をさせねば」と、この提案となったものです。
その後、2006年 住民を震撼させ社会問題になった「鉄筋偽造問題」が発覚、今に及んでおります。
この現象は開発着手後に発生した事象とその時期により明らかになった諸事情により、一層施主と工事請負業者、また、マンション等の買い手と販売会社との不信任感が増大し、少しでも建築に関して知識のない素人の側との理解、確認を行うツールとして生かして頂きたいと考えます。
上記趣旨にあった通り学生諸君には教材として特別な価格を設定し供給することが最大の目的であり、それを基本に今後の建設業界での活躍の手助けになればと希望しております。これは教授と開発者の共通の理念であります。
1)大学等学校へ・・・・・・・教材として
2) 建設関連へ・・・・・・・・実験用素材として
3)ハウスメーカー等へ・・・・説明ツールとして
4)模型関連業界へ・・・・・・情景モデル素材として
構造実験に耐えられる強度、鉄筋本来の粘り、コンクリートとの接合等の正しい理解は必要不可欠なことであり、また他の専門分野
の教授によりコンクリートそのものも縮尺(例えば最大寸法20mm直径の砂利が約1mm弱)を検討、双方の研究により、より正確な「縮尺鉄筋コンクリー
ト」の完成を目指しております。
形状とそのサイズを縮尺しモデル化できることにより、建築を学ぶ学生にとっては図面を立体として再現し実感するためのツールとして役立つものと考えます。
また、実際に施工される場合は、施主に対して、柱の内部構造、ガレージなど身近な床構造を縮尺で再現し、事前承認を得るために利用して頂けるものと考えます。
先ずは、素人の場合99%図面での判断は難しく、逆に想像以上の鉄筋使用数に安心感を持つ場合もあると思わ れます。その意味ではセールストークの際のツールとして有効です。施主側にとっても一生一代の買い物に至るための決断において、その構造物の安全性を納得 するための分かりやすく最適なツールとなることでしょう。また契約が成立した場合、何よりの記録として、また記念の品としても利用して頂けると考えており ます。
結果として期待することは、「もの作り」の基本である手での知識の習得がややもすれば無くなりかけている現代に、学生時代で学習と平行して、現在注目を集めている耐震構造など社会不安を正しく説明し、また実証し健全な社会への一助になれば幸いと考えております。
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法政大学 デザイン工学部
都市環境デザイン工学科
東京大学 目黒研究室
2018年神戸コンクリート工学学会
コンクリート工学年次大会2020(広島)
コンクリート工学年次大会2023(九州)